特性に合った方法を子どもと一緒に作り上げていく まなび舎 のびーくの、「学びの コツ」の例をご紹介します。

算数〜文章問題が苦手〜

  • 計算はよくできるけど、文章問題になると立式できない。
  • 「あわせて」「のこりは」「◯こずつ」「わけると」などの言葉があると四則の判断ができるが、キーワードになる言葉がないと立式できない。
  • 文章をよく読まず、あわてて間違える。

学びのコツ

算数の文章問題は、算数の力だけでなく、語彙の理解や文の読解力など国語の力も求められます。そのため、文を読んだ後は、言葉の意味を理解しているかを確認をしています。

文章問題が苦手な子どもの場合、文字や言葉から、具体的なイメージを描くことが難しいことが多いので、絵が得意な子どもには絵をかいてもらったり、具体物を実際に動かしてみたり、高学年の子どもには図をかいてもらったりして、目に見える形にしていきます。 描いた絵に色を塗ったり、家族や友達を登場させたりすると、より実感をともなう場面としてイメージできるようになります。

絵や図が苦手な子どもは、問題にでてきた数字が何を表しているかが理解できるよう、式の中の数字や符号に「◯人」「◯こずつ」「わける」などの言葉を書き込んで、説明しても らいます。そうすることで、式が、ただ数字を並べただけのものではなく、意味を持ったものであることに気付けるようにしていきます。

「問題が解ければいい」と慌てて解くのではなく、生活の中のことがらとのつながりを感じ、「こんなところで使える!」と思えると、意欲もでてきますね。

算数〜分数、小数、わり算がわからない~

  • 算数はできていたのに、急についていけなくなった。
  • 分数や小数がでてきたら、わからなくなった。
  • かけざんまではできていたのに、わりざんになったらできなくなった。

学びのコツ

算数は、1、2、3…と数えられる具体的な数から、0.5や1/2など抽象的な概念に基づく数の問題へと進んでいきます。この抽象的な概念をとらえられず、分数や小数でつまずくお子さんがいます。また、わり算の商の「見当をつける」ことも抽象的な思考が必要となります。

この場合、2つの方向から学習を進めていきます。まずは、0.5や1/2を「りんご半分」で示すなど、具体的なイメージと結びつけて理解を促していきます。分数は、ピザに見立てた円で1/3や1/4を示すなど、絵や図を使うとわかりやすく、混乱していた子も「なるほど」と意味をつかめるようです。生活の中の身近なものと結びつけていくと、わかりやすいですよね。

ただ、抽象的な理解がともなうのを待っていては、学習中の単元で答えを求められないこともでてきます。そこで、「計算操作」としての練習をしていくことも大事にしています。答えが出せることで自信を失わずに、算数の学習を続けていくことができます。

国語〜作文が苦手〜

  • おしゃべりは好きだけど、作文になると、書くことがまとまらず、なかなか一人で進められない。
  • 感想はいつも「楽しかった」になってしまう。

学びのコツ

作文に対する苦手意識から、「伝えたい」気持ちをつぶしてしまわないよう、教室では、始めに受け答えをし、「そうか、楽しかったね」「それは、すごいね」と、子どもと気持ち を共有します。 その次は、「いつ・どこ・だれ・どうした・どうだった・どう思った」などの項目を示して、それに沿って「です・ます」で話してもらいます。何をどの順番で話すのか、目に見える形で示すことが大切ですね。

様子の表し方や、感想の伝え方は、「こんな言い方もできるよ」と、気持ちにより当てはまる言葉を伝えて、語彙を増やします。口頭で伝えられたら、紙に書いていきます。書くことに苦手がある場合は、先生が代筆したものを写したり、子どもが口頭でまとめた文を文を先生が読み上げたりして、「書く」作業に集中できるようにしています。

出来上がると、子どもたちは、周りにいる先生や、迎えに来たお母さんに、うれしそうに発表しています。

国語〜文字を書くのが苦手〜

  • 鉛筆を持って書くのを嫌がる。
  • ひらがな・カタカナの形がなかなかとれない。
  • 漢字が覚えられない。

学びのコツ

書くことが苦手な原因は、「手先の不器用さ」「目と手の協応の難しさ」「音から文字を思い出しにくい」など、色々です。 まず「書く」作業の何が苦手なのかを見極めていきます。その上で、苦手に合わせて指導方法を考えていきます。

指導で大切にしているのは子どもが「書いてみよう!」と思うことです。鉛筆を使うことに苦手意識がある場合には、黒板やホワイトボートに好きな色のチョークやペンで書いてもらったり、タブレットに指で書いてもらったりします。 絵を描くのと同じような気持ちで、身を構えずにできるので、緊張がほぐれます。マスの中の「たて」「横」がつかめない子どもには、「おへそに向かって線を引く」「紙を抑えている方に」など、体を使って具体的に言葉かけをしていきます。 漢字に苦手意識のある子は、漢字の意味が絵を見てわかるよう漢字カルタをつかったり、漢字を部首に分解して作った漢字パズルにしたり、漢字に興味が持てるよう、今まで習った漢 字を使った「創作漢字」を作ってみたりします。

「楽しんで終わり」ではなく、先生が大切にしているのは「楽しい」から興味を持ってもらい、「頑張ってみようかな」の気持ちを引き出すことです。 頑張った後は笑顔で「ふぅ~」とため息が。花まるをあげたくなりますね。

気持ち〜間違えるのが嫌〜

  • 答えに×がつくのを嫌がる。
  • 間違えても、なかなか受け入れられない。
  • 間違えを隠そうとする。

学びのコツ

学習に難しさを感じている子どもは、「できない」「うまくいかない」ということを、誰よりも感じています。学習のたびにその気持ちを感じるのは辛いですね。そこで「できない」ことを否定的にとらえることがないよう、周りが配慮していくことが大事です。

教室では、プリントに×がつくのを嫌がる子どもには、×ではなく、「・」のように他の印をつけたり、間違えをなかなか受け入れられない子どもには、○×のカードを使ったクイズ形式 にしたりして、楽しい雰囲気で問題に取り組めるよう工夫しています。 また、先生だけが問題を出すのではなく、子どもにも問題を作ってもらってお互いに問題を出し合って、子どもにも○付けをしてもらったりします。◯付けをすることがうれしく、先生 の答えが間違っていないか、一生懸命考えたりする様子がみられます。

子どもの特性や好きなことに合わせて、雰囲気や学習方法を変えていけるのが、マンツーマンのよいところです。

気持ち〜意欲がわかない〜

  • 勉強するのを嫌がる。
  • 質問に答えようとしない。
  • テストなどのとき、すぐにあきらめて答えを書かない。

学びのコツ

成長とともに客観的な視点が育ち、「周りからみた自分」を意識するようになっていきます。その中で、「できない」という思いが積み重なると、自分を否定する気持ちが強まり、勉強から逃げ出したくなります。高学年になってから出会うお子さんの中には、意欲にふたをしてしまっているような子が多くいます。

そのときに、「やりなさい」と強制するのは逆効果です。「やってみようかな」と思う気持ちを引き出していくことが重要です。教室では、興味のあることがらについて話したり、頭を使って対戦するようなゲームをしたりして、気持ちをほぐすことから向き合っていきます。その中で、勉強のことにも触れ、「できないのはあなたのせいではない」「できなくても一緒に取り組むから大丈夫」というメッセージを伝えていきます。

そのうちに子どもがこちらを受け入れてくれ、「○○ができないんだよね」などと打ち明けてくれるようになってきます。その気持ちを受け止めると「わかってくれた」と安心し、少しずつ「やってみようかな」という思いがめばえてきます。

そこで、「これならできる」と思える問題を出し、確実に「できた!」につなげていきます。「あれ?ここでならできる」と思ってくれたら、そこからがスタートです。一歩ずつチャレンジを促し、力をつけていきます。

教材例