ゲームと上手につき合おう
まなび舎 のびーくのサイトウです。
冬休みが始まりますね!
子どもが家にいる時間が長くなると「またゲームをしたり動画を見たりする時間が増えてしまう。」とご心配されていませんか。
ゲーム時間を決めて約束を守ることが大事だとわかっているけれど、なかなかうまくいかなくて結局怒ってしまったり、良くないと思ってもゲームを取り上げてしまったり・・・。
「これでいいのだろうか。」と悩まれていることもあるかもしれません。
そんな方に、具体的なヒントや安心をもらえそうな本をご紹介させてください。
ご自身も筋金入りのゲーム好きでいらっしゃるという児童精神科医の先生が書かれた本です。
吉川徹『ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち』(合同出版)
前書きには
「今世に出ているゲーム・ネット依存を扱った本は、予防や医学的観点からの警告と治療、危険性の啓蒙が中心です。私は自分自身が子ども、若者だった頃の経験と、診察室の内外で現代の子どもたちと接してきた経験を通して、これまでとは少し違ったポジティブな方向からこの問題に取り組んで見たいと思いました。」
とあります。
今までありがちだった「ゲームのしすぎは危ない!」と言う観点からではないところがとても新鮮です。
「まずは相手(?)を知ることから」と、子どもたちが使うICTの種類やツールの特徴等の詳しい説明にも多くのページが割かれています。
読み進めていって私が一番驚いたのは
「ゲーム嗜癖については、ゲーム時間の長さはその原因ではなく、嗜癖(≒依存)の結果として、
生活の中でゲームが長時間を占めるようになると考えた方がよいのかもしれない」
という部分です。
私は「ゲームばかりしていたら”依存症”になってしまう。子どものゲーム時間はなるべく減らさなくては!」と心配していましたので、少し安心しました。
そして吉川先生はこのように続けています。
「目標はゲームの時間を短くすることではなく、時間を自律的にコントロールできるようになること、つまりゲームをおしまいにする力を身につけることではないでしょうか。」
さらに、子どもが健全にICTと付き合っていくための具体的なヒントとして書かれていることの中で特に私の印象に残ったことをいくつか挙げてみます。
- 親子ともに、約束事を決めて取り組むのはなるべく早い時期だと楽。
- ICT使用についての約束は、大人と子どもで合意を取りながらする。
- 「ネットやゲームについての約束は子どもには守れない」ということを忘れないことも大事。
(矛盾するようですが、心構えをしておけば子どもを叱り付けないで済みます。その意義や具体的な助言についてはぜひ本をお読みください。) - 成長につれて制限を緩めていく(逆をやろうとすると子どもは反発する)のが原則。
- 親が、ゲームを初めとしたICTを目の敵にしないこと。
(子どもが相談しづらくなるから) - ゲーム時間についてはあまり心配しなくてよいが、睡眠や食事などに影響が出てきたら要注意。
- 何よりも大事なのは、ネットやゲームの他に「も」楽しいことがたくさんあるという実感を持てるようにすること。(そのためには、リアルな世界の中で、好きなものを増やしていかれるように大人が支援し続けること)
中でも「約束」については、大人の困り感にも寄り添いながら、子どもとの話の進め方についても詳しく書かれており、とてもとても!参考になります。
のびーくの教室でも、子どもと約束など決めごとをする時は、必ず本人の思いを伝えるようにしてもらっています。
その上で「こうなりたい」という自分に近づけるよう一緒に方法を考えていきます。
子どもが「やらされている」と感じるのではなく、自分の意志で「やろう」と思ってほしいからです。
もちろん、一回ではうまく行かず、何度も試行錯誤します。
「約束」として決めたことがうまくできなくても、「なんで守れなかったの!」と子どもを責めることは絶対しません。「どうしたら守れるかな。」と一緒に考えます。
悩んでいることを共有することで、安心して一緒に目指している自分に近づいていってほしいのです。
これからを生きる子どもたちに、ICTとのよい付き合い方を見つけて行ってほしいと思います。
そしてその子どもたちを見守る大人も、新しい知識や視点を得ながらより良い支援をしていかれたらと願っています。